Umitsuki Hikari
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”海月ひかり実演版~単品、つくね。下北で。” リリースコメント
ライブ活動開始から11年を数える。ライブを始めた当時と変わらないピアノ弾き語りで、もう11年も歌って来たのか...と、自分でもびっくりしている。
どのくらいやったから立派ということではなくて、情熱を持ち、変わらず追いかけられるものと出会えたことに、素直に喜びを感じている今日この頃です。
ライブCDをリリースさせて頂くにあたり、この作品にまつわること書き記しておこうと思いました。稚文ではありますが、最後までご拝読頂けますと幸いです。
下北で。
下北沢CLUB Queは、二度目の上京後からずっとお世話になっている私のホームグラウンド。
今の私には必要不可欠な場所です。
Queのステージには女神様がいて、そいつが味方となるか敵となるかで、その日のステージが変わるって話を聞いたことがある。正直、私はまだその女神様を味方につけたことはなくて、いつもライブの後には、まだまだだなぁと、いろんな宿題をもらって帰る。
ロックって、私は大人になってから知ったし、音楽を始めたファーストインパクトではないけど、私はロックが好き。
いや、もしかしたらQueで聴くロックが好きなのかも知れない。
すごくいいバンドに出会うと、その音がこの耳にもっと欲しい!って思う。気がつけば前のめりで、ステージに向かって手を伸ばしていたりする。人と人が音楽で結ばれていることを感じて、たとえその日がブルーでも、なんだ独りじゃないじゃんか、と思える。
そんな夢中になって追い掛けて聴いていたバンドと、気がつけば同じステージで歌っていることに、心底、驚いている。
Bar営業中、店長の二位さんと話をしていたら、私の好きなバンドのメンバーの武勇伝とか、アマチュア時代のこととか、そういう話が聞ける。
歴史というか、映画だなって思うの。二位さんがそういう喋り方をするからかもしれないけど、知らない人の話だとしても、その人の人間模様が見えてくる。音楽があることに人がいて、人がいて音楽が生まれて。ライブハウスって、すごく素敵な場所なのよ。
5月から7月まで、ビルの耐震工事でQueが閉まってから、私にとって本当にあのステージが特別だってことを再認識した。下北沢に寄ることも減ったし、なんとなく、私自身の音楽が遠のいたような気がして寂しかった。同時に、不変なんて無いんだって知った。
だからこうして「ある一夜の出来事」をCDという形にして残せたことがとても嬉しいのだ。
偶然にもあの日、ライブ映像用に録音ボタンが押されていて、後日その音源をもらって自分でもたまげた!おい、ちょっと女神様が微笑みかけてるんじゃないかって(笑)
うぬぼれるとろくなことにならないけど、偶然だからこそ、最高の一枚です。
単品=海月ひかり
実は一人でいることがとても苦手な私。だからこそ夜な夜な飲み歩いたりして、人に会いに行く。それがお酒を覚えたきっかけかもしれない。それなのに、一人で歌っている。自分でもこれまた奇跡だと思っている。それもピアノの弾き語り。ロックバンドのバンドボーカルに憧れていて、いつかバンドを組みたい!という願望があって、周りに楽器やっている仲間がいないわけじゃないけど、バンド結成には至らない。本当に不思議。よっぽど協調性がないか、まだ本気になれるメンバーに出会えてないのか。ただ、一人で歌うことは、自然なこと。私はずっと、自分のことしか歌っていないから。メッセージソングってほど綺麗なものじゃない。生きることと音楽がリンクしているから、溢れたものがすべて。
自分から溢れた感情だけで、生きる人間の思考を一瞬でも奪うステージが出来たら最高。それを目標にやっているから、単品でいることが最善なのかもしれない。
つくね=みんな
ただ、人と交わることを拒んでいるわけではありませんよ。CDの二曲目にある「夢の中」という曲ではコールアンドレスポンスをしているし、本当はもっとみんなに歌ってもらいたいと思って、そこに寄せた楽曲も書いているんだ。
ステージでは単品でもね、海月ひかりには最高の仲間たちがいるのです。
音楽を通じて、私はたくさんのかけがえのない友人たちに出会いました。私だけが知っている私の頭の中のクローゼットに、友人たちが私にくれたいろんな感情や言葉があります。
生きている人間は素敵な言葉を持っています。もともと詩人の影響で曲作りを始めたので、私は日常の中でも、人の言葉によく刺激をもらうのです。
ここでひとつ種明かし。『SOS』って曲は、ある友人のある楽曲からインスパイアされて書いた歌詞なんです。
”挙げ句の果て”って言葉。すごくロマンティックだなって思ってたの。何かを追いかけたその先。それがもし、恋人同士ならすごく素敵なラブストーリーだなって。なんだかいろんなことが襲いかかってくる慌ただしい現代社会から逸脱して、呆れるくらい「君だけの自分」になれたらいいなって。そういう気持ちです。
海月ひかりは自分のことしか歌っていないと書きましたが、私のなかにはたくさんの人がいます。皆さんもそうでしょう。故郷の家族だったり、学校の先生だったり、幼馴染だったり、恋のライバルだったり、苦手な上司だったり、友達だったり。
その中で出会った感情を、私は音楽にして歌っています。
音楽が溢れるのは、私が人が好きで、人と出会うことをやめないから。たった一度の人生に出会う大事な人たちと、私がそれぞれの楽曲のなかで会いに行きます。そうやって、生きることを楽しんでいます。
ジャケットのイラスト、タイトルをそのまま用いたカリグラフィーは、学生時代からの友人で鋲画や筆文字作品を作っているアーティスト・こぱさんに描いてもらいました。
彼女との再会は、渋谷のKEY楽器の前。福岡の専門学校を卒業して以来会っていないし、連絡先も知らなかったし、雑踏のなかでばったり会って、お互いがお互いを認識出来たことも奇跡的なことです。私の知っているこぱちゃんは、ハードコアバンドのドラマーでした。しかし数年ぶりに再会すると、違う形で自己表現をしていました。
CDのデザインは自分で作っています。今回はなかなかイメージが決まらなくてずっと悩んでいて、ふと、こぱちゃんにLINEで「HELP」を投げました。ざっくりと参考になるイラストと、「徳利とお猪口」というオーダーだけで、なんとも素敵なイラストを仕上げてくれました。本当に感謝してします。ありがとう。最高に気に入っています。
ミックスはいつもお世話になっているエンジニアの坂口太志さんにお願いしました。もともと、ライブ音源用の録音でなかったのですが、無理言ってミックスしてもらいました。
音だけでなくて、ジャケットのデザインなどもいつもアドバイスをもらっていて、ミックスに関するやりとりをしながら、「ちなみに今回のデザインこんな感じです」と写真を送ると、好感触な返事が返ってきました。
「酒浸り海月!」
福岡出身で、飲み仲間でもある坂口さん。横浜でレコーディングしたら、レコーディングより長い時間飲む。好きな男の話と、ちょっとだけ音楽の話をしながら、べろんべろんになるまで飲むの(笑)
レコーディング苦手だけど、坂口さんと酒飲むのは好きなんだ。だからまた、レコーディングしようってなる(笑)
今年の12月で29歳になります。二十代最後の一年は、たくさん曲を書いて、また皆さんに聴いてもらいたいと思っています。あまり時間の括りにはこだわりたくないのですが、とっ散らかった私の楽曲たちをひとつの形にまとめてみることも考えています。
音楽活動以外では、そろそろいい年齢になるので、お世話になった方々へ少しずつ恩返しがしたいのと、はやりお酒が好きなので、もっと美味しい酒を飲んで歩きたいと思っています。

最後に。
これまでもこれからも私の音楽に出会って下さる全ての方に心から感謝致します。
とっても出来損ないの私が、やっとこさ見つけたら自分の居場所が音楽で、そこで出会った人たちは本当に私の財産です。
音楽と生きていくことを初めて、11年。本日まで変わらぬスタイルで、ライブという窓からこっそりと皆さんの心を覗かせて頂いております。
どんな状況の中でも、響き合うことを諦めないし、”音楽が最強”であることを信じ抜こうと思います。
そして、下北沢CLUB Queの皆さん、あの日共演してくれたやもとなおこさん、ライブ映像を撮影してくれた加藤さん、竹内さん、川井田さん、海月スタッフの寺田くん、こぱちゃん、坂口さん、4月28日にご来場いただいた皆様、本当に本当にありがとうございました。
多々ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、海月ひかりと関わって良かったと思って頂けるアーティストに成長できるように、これからまだまだ頑張っていこうと思いますので、今後ともご指導の程、よろしくお願い申し上げます。
最後までご拝読頂き、ありがとうございました。
2015年7月 海月ひかり